おはようございます。サイクルジョイたたら 代表のTakahiroです。
昨日は天気下り坂真っ最中。だからこそのコンディションとも言えます。とにかく凪いでいて、曇り空なので日差しもありません。ということは、上昇気流がないので飛んでいる間機体が揺さぶられるということもない、ということですね。
グラウンド到着時、ちょっと南風が入っていましたが、すぐに凪ぎました。
途中までグラウンドゴルフに興じるお年寄りがいらっしゃいましたが、フライトするのに支障なしと判断してフライト開始。上昇体勢に若干問題があった機体もありましたが、その都度調整で問題解決。基本的にみんなよく飛んでくれました。
そして今回は、その中の3機をご紹介。まずはこちらから。
競技用機N-1380です。恐らくこれはRacer546と同型機と思われますが、胴体の長さがちょっと違うんですよね。ひょっとしたらそのあたりをちょっと弄って、別型機ということにしたのかもしれません。この機体、ご覧の通りかなりベーシックなものとなっています。1300番台なので、主翼の裏打ちはほぼ完成形となっていて、前縁が翼端まで、後縁は主翼半分あたりまでカバーするものとなっています。
特に主翼ですが、中央の取り付け部にキャンバーをあらかじめ設定できるMOST翼や、上反角を2段階に分けて付ける2段上反角の機体もある中、こうした主翼は主翼付け根にキャンバーをつけにくくなっているため主翼自体の性能は若干劣ります。ただし、組み立てに必要な部品が少なく、調整箇所も少ないことから比較的調整自体は楽になります。ということは、調整にかける時間が短くなり、その分フライトに時間をかけられる、ということにもなりますよね。
続いてこちら。
LightPlane 306 Orvilleです。これはバルサ胴化でレプリカになっています。先尾翼機(カナード機)ですが、以前から申し上げている通り調整にちょっと癖があるんですよね。通常の機体と比較して、高速と低速の挙動差があまりないので、高高度まで打ち上げるということがなかなか難しくなります。ビシッと高高度まで上げようとすると、今度は滑空に入りにくくなってそのまま墜落してきますし、かといって低速時の滑空を重要視するとすぐに旋回に入ってしまって高高度に達しない。そのあたりの探りを入れるのが結構難しかったりします。上手くいったと思っても、そこにある程度の風が吹くと対気速度が変わることで挙動が一気に不安定になる。滑空に入ったかと思いきや、風で機首が上がって失速、高度を落としてまた首を上げるという、いわゆる首振りを起こしてどんどんと高度を下げてしまう。今回は風が弱かったのでそこそこ飛ばせましたが、ちょっと高いところは南風が抜けていたので、煽られるとやはり前述の首振りを起こして急激に高度を下げるという感じになったこともありました。
最後の1機です。
Racer530Sレプリカです。いわゆる垂直上昇型と呼ばれる機体で、重心位置が主翼の後縁にほど近い場所にある機体です。重心が後ろにあるということは、重さが前にかからないということになりますから滑空というかふわふわ浮いているような飛び方をするようになります。実際滑空に入ると、ふわふわゆっくりと下に降りてくる、そんな印象を受けます。
この垂直上昇型、読んで字のごとく垂直に上昇して高度獲得、その後スッと機首を水平にして滑空に入るタイプの機体なのですが、以前までちょっと調整に苦手意識を持っていました。というのも、機体の挙動をコントロールするのは尾翼、こと水平尾翼であることがほとんどで、主翼をああだこうだ弄るというのはあまりありません。勿論、組立時にねじりや曲がりを直しておくのは当然ですし、それはどんな機体でも同じことです。ただ、前述の先尾翼機もそうですが、主翼の調整にシビアにならないとこの垂直上昇型もよく飛んでくれません。というか、まともに上昇してくれません。
これはもっともな話なんですよね。重心が後ろにあるんですから、ちょっとしたことで頭上げをしてしまう可能性がある訳です。となると、普通は水平尾翼の内側後縁を下げてやることで高速時の頭上げを抑制するいわゆる「おまじない」をしてあげることで改善するのですが、この垂直上昇型の場合は重心が後ろに行っているため、水平尾翼の制御がかなり難しいものになっているんです。重心がある程度前にあれば、てこの原理で水平尾翼の小さい力でコントロールできるのですが、全く逆の状況です。ということで、代わりに主翼の調整をしっかりやらないとダメということになります。
問題になるのは、滑空よりもむしろ上昇だと思うのですが、前述のとおり頭上げをしてまともに上昇しないというケースが結構出て来るんですね。ではその場合どうするか。主翼の曲がり歪みを真っすぐにするというのは勿論なのですが、その上で
主翼の前縁を下げる
ということを私はしています。この理由ですが、主翼の迎え角が大きくついてしまっていることで、揚力が過剰になってしまっているということです。当然滑空はしますが、この状態ではその過剰な揚力が邪魔をして、機体が垂直に上昇する、つまり前方向に進む邪魔をして機体の軌道を曲げてしまうんですね。つまり見かけ上の主翼取り付け角を水平に近くする、ということになります。このことに気付いてから、主翼の前縁を下げてやるとあらビックリ。ほぼ垂直に上昇してくれるようになりました。
色々うんちくを語ってしまいました。それにしても、落ち着いて調整すると、挙動のおかしな機体でもちゃんと飛んでくれるんですよね。まあだからこそ楽しめるというのはあるんですが。